放送 毎週日曜 総合テレビ 午後8時より
BSプレミアム 午後6時より
再放送 毎週土曜 総合テレビ 午後1時5分より
毎回一話ずつあらすじ、詳細情報、ひとこと(感想)を書いてますので、よかったら読んでいってください。
政次は朝利から呼び出され、背後から斬りかかられる。もみ合いになり、気づいた時には朝利を息絶えていた。
井伊では騒然となった。政次を仇討ちする!という声も上がるが、次郎と政次の義妹なつの働きかけによりなんとか事を収める。
そんな中、直親の妻しのが男児を出産し、井伊家に跡継ぎが誕生する。井伊家中はつかのまの喜びに包まれる。
一方、今川では元康が反旗を翻し、元康の妻子が今川で幽閉されてしまう。元康の妻である瀬名と親戚であり交友関係にある次郎はいてもたってもいられなくなり、今川に命乞いするために出発して行った。
詳細情報
ネタバレを含みます。
まだ詳細を知りたくない方は読まない方がよいでしょう。
人質交換
次郎は、今川館の前で瀬名を連れて行かれまいと必死で抵抗していたが、突き飛ばされて倒れてしまう。
そこへ、猛スピードで突進した馬に踏みつけられそうになるが、間一髪、なんとかこれを避けた。そして馬に乗っていた武士が降りてきた叫んだ。
武士「松平元康が家臣、石川数正と申す! 鵜殿長照殿の忘れ形見を預かっておりまする! 瀬名殿、竹千代君、亀姫様とのお引き換えを願いたい!」
元康の申し出により、瀬名と竹千代、亀姫と鵜殿長照の子との人質交換が成立した。
関口の屋敷の一室で、次郎と瀬名は別れを惜しんだ。
次郎「これからも便りはできるのかの」
瀬名「……もう、次郎様とも、敵味方になるのですね」
次郎「表向きはの」
佐名 「兄上、次郎様、こたびはまことにありがとうございました」
瀬名もその隣で頭を下げる。南渓と次郎は、顔を見合わせてほほえんだ。
目的を果たした次郎たちは、その日のうちに井伊谷に帰っていった。
その夜、佐名と瀬名は竹千代と亀姫を挟んで休んだ。
佐名「……瀬名。岡崎へ行けば、あなたと私は敵となります。なれど、迷うことはありません。今度こそ今川を手に入れなさい。それがあなたなら、母は本望です」
瀬名「……はい」
この夜を最後に、瀬名は二度と母に会うことはなかった。後に佐名とその夫は、娘婿の謀反のかどで自刃に追い込まれたからである。
山伏の訪問
数日後、見知らぬ山伏が突然、次郎を訪ねてきた。
山伏「松平元康様より、こたびのお礼をお持ちしました。瀬名様のお命を救っていただいたお礼です。どうぞ、お納めくださいませ。それから、こちらを井伊の殿に」
書状を渡された次郎は、直親の元にそれを届けた。
直親はそれを持って、政次の屋敷を訪れた。
政次「松平より鷹狩りへの招き…? かようなものを目付に見せ、どうなさるおつもりで? 内通をするぞと言っておられるようなものではないですか」
直親「恐らく、今川はもう立ち直れまい。その道連れになるのはまっぴらじゃ。となれば、どこかで松平と接触せねばならぬ。松平は今、長篠まで来ておる。一年ものちには、その波は遠江に達しよう。もう様子見とも言っておられぬ時期に来ておると思う」
政次「じかに会うのはまだ早かろう」
直親「じゃが、前もって手を組めばこそ、やれることというものもあろう」
政次「その前に、今川に謀反の疑いをかけられるかもしれんがな」
直親「だから、政次に決めてもらわねばならぬのだ」
政次「……選ぶ余地などないではないか。俺とて、今川と共倒れなど御免だ」
次郎を訪ねてきた山伏の案内で、直親は藤七郎と共に、とある山寺に来ていた。
山伏「松平様。井伊直親様がお着きになられました」
元康「それがし、松平元康にござる。こたびは妻子の命乞いをしていただき、まこと助かり申した!」
元康は力強く直親の手を握った。その手の甲に刀傷があった。
元康「次郎法師様がいてくださらなんだら、数正が着く前に瀬名たちは殺されておった! この元康、井伊のためなら向後、どのようなお力添えも惜しむまいと思うております!」
直親は、信頼に足る人物という印象を受けた。
ところが後日、龍潭寺にまた、別の山伏がやってきた。南渓和尚はこの山伏と顔見知りであった。
南渓「常慶ではないか!どうしたのじゃ、今日は」
常慶「松平元康様よりお礼の品をお持ちしました」
次郎「……え?お礼はもう頂きましたが?」
南渓がハッと息をのむ。次郎はすぐさま直親のもとに走り、今回のことが今川の罠であるということを知らせた。
今川の罠
政次は駿府の今川館に来てきた。
寿桂尼「実は、井伊が松平と内通をしているという噂を耳にしてな」
政次「……まことにございますか? それがしは存じ上げませぬが……何故にそのような」
寿桂尼「かようなものが持ち込まれたのじゃ」
それは、直親が元康に宛てた、鷹狩りの誘いへの返信である。なぜこれが今川の手に……。
寿桂尼「そちらの殿が書かれたようであるが、松平と鷹狩りに行かれたのか?」
政次「いや、存じ上げませぬ。しかし、殿の筆とは少し違いますような……」
男が入ってきた。その手には刀傷があった。直親が元康の様子を話していた特徴と一致する。そして、政次はこれは図られたのだと悟った。
寿桂尼「もう一度聞く。そなたはまったくあずかり知らぬことなのじゃな?」
寿桂尼「まさか、目付でありながら、加担しておったのではあるまいな!? 答えられよ」
政次「….」
寿桂尼「答えを、選ばれよ」
政次「…選ぶ余地などございません。父の代より恩恵を受けてまいりました。私は今川さまの目付にございます。」
次郎と直親は南渓の部屋で話を聞いていた。
南渓「恐らく井伊は試されたのじゃ。裏切る前にその芽は摘んでおこうとな」
次郎「政次は、今、駿府におるのじゃろ!? 政次はこのことは知っておるのか!?」
直親「この際、松平にお助けを願おう。松平に合力いただければ、今川に踏み込まれても戦うことができよう。場合によっては、戦わず取り引きできるかもしれませぬ。和尚様、お願いできますか?」
南渓「分かった」
直親はその場で元康への嘆願書を書き始めた。
次郎「直親! 政次は?」
直親「あとだ。今は考えぬ」
次郎「……和尚様。私もお連れくださいませぬか」
夕刻、南渓と常慶、そして次郎は慌ただしく寺を出立した。
左馬助「今、それがしのところへ今川より使いの者が参りまして。問いただしたいことがあるゆえ、直親殿に急ぎ申し開きに来るようにとの下知が参ったのですが、これは……」
直親 「……皆様にお伝えせねばならぬことがございます」
元康の決断は?
南渓「常慶、いかがであった?」
常慶「今、合力することはできぬとのお答えにございました」
次郎「瀬名様はどちらにおられる?」
常慶「……寺です」
次郎「何故、さようなところに」
常慶「瀬名様たちは捨て置かれるはずでございました。三河の者たちは、今川の出の妻子など捨ておけばよい、と。それを、殿や石川様があまりに忍びないと、ああいう苦肉の策に出られたのです」
次郎 「その寺はどこにある!」
正室でありながら城に入ることを許されず、瀬名たち親子は、岡崎城から半里(約二キロメートル)ほど離れた乙川のほとりにある惣持寺で、幽閉同然の生活を送っていた。
次郎「瀬名様、お願いじゃ。お助けくだされ。私と一緒に井伊に来てくだされ!」
せっぱ詰まったその様子に驚きながらも部屋に通し、次郎の話を聞く。
瀬名 「私と竹千代を人質にして、松平の合力を取りつけたいと……」
次郎「事が成れば、その日にでもこちらへお返しする。頼む」
瀬名「……私どもでは人質になりませぬ」
次郎「聞いておる。なれど、元康殿は捨て置くのは忍びないと思うてくださったそうではないか。ならばこたびも……」
瀬名「こたびこそ、捨て置かれるだけにございます」
次郎「われらにはもう、あとがないのじゃ!」
瀬名「……分かりました。すぐに支度をいたしますゆえ、しばしお待ちを」
次郎「かたじけのうございます!」
次郎の後ろから、瀬名と、数正に手を引かれた竹千代が歩いてくる。
寺の裏庭からこっそり抜け出そうとする頃には、日はすでに暮れていた。門の外では、南渓が待っている。
次郎「和尚様、お待たせしました」
次郎が門を出た瞬間、思わぬことが起きた──後ろで扉が閉まったのである。
次郎「瀬名様、これは……これはいかなることじゃ! 瀬名様!」
瀬名「私は参れませぬ!」
次郎「瀬名様! なぜ!」
瀬名「井伊に置き去りにされては、私は今川を手に入れることはできませぬ!
母と……亡き母と、約束したのでございます!
井伊の皆様の、ご無事をお祈りいたします」
次郎「瀬名様! ここをお開けくだされ! 瀬名様!」
見かねた南渓が、その手を止めた。
直親「やると決めたのは直親じゃ。いざというときの覚悟はしておろう。お前のせいではない」
次郎「瀬名様! ここを開けろ! 瀬名!」
瀬名は立ち尽くしたままじっとその音を聞いていた。
直親の運命は?
──言うておく。お前は必ずわしと同じ道をたどるぞ。
父の政直が言った言葉を思い起こしていると、氏真がやって来た。氏真「但馬。井伊が呼び出しに応じぬのじゃが……」政次 「……少し、脅されるがよいかもしれませぬ」
井伊谷に戻った南渓が報告を終えると、主殿に集まった一同は考え込んでしまった。そこへ慌ただしく駆けてくる足音が。
孫一郎「兵が……都田川の向こうに、今川の兵が押し寄せております!」
都田川といえば、もう目と鼻の先だ。早ければ明日にも井伊谷までやって来るだろう。しかし井伊には、今川に対抗する武器も兵力もない。
直平「では、迎え撃つとするか! のう、皆の衆!」
直由「そう。さようでございます! 迎え撃てばよいだけの話にございます!」
孫一郎「それがしも、ずっとそれがよいと思うておりました!」
直親「こたびのことは、それがしの失態。それがしが申し開きに参れば、それで済むことにございます」
直平 「……わしはもう、見送るのは御免じゃ!もう、御免じゃ」
夜遅く直親が館に帰ってくると、しのと虎松が寝ずに待っていた。
しの「お帰りなさいませ」
直親「なんじゃ、虎松まで寝かせずにおったのか」
しの「……お会いに、なりたいかと」
直親「しの。虎松が生まれてから、寺の井戸には水が湧き始めてな。
虎松はきっと、ご初代様の生まれ変わりだと思うのだ。
この子は井伊をよみがえらせる──お前が産んだのは、そういうただならぬ子だと思うのだが、お前はどう思う?」
しのはただ、にっこりと笑った。
そして直親は虎松に向かってこう言った。
直親「生きておれば、必ず、好機はある。分かるか?」
そして直親は、虎松としのを二人を抱きしめた。
次郎は説得に失敗して、次の早朝に龍潭寺に帰ってきた。
山門まで来たとき、直親がいつもと変わらぬ笑顔で立っていた。これから駿府に発つという。
次郎「私が男子に生まれておればよかったのじゃ!さすれば明日、駿府にまいるのは私であったはずじゃ!」
直親「それは困る。もし、おとわが女子でなければ、俺のたった一つの美しい思い出がなくなってしまう」
そう言って笑った。
直親「おとわ。経を歌ってくれぬか、川名でのあの経を。もう一度、聞きたい」
次郎「……断る。あれは死者を悼むものじゃ。明日、太守が死ぬかもしれぬ! 今川館が焼け落ちるかもしれぬ! だから、断る!」
次の瞬間、次郎は直親に強く抱き締められた。
直親「では、戻ったら一緒になってくれ」
次郎「…心得た」
次郎「待っておるからな。待っておるからな、亀!どんな卑怯な手を使っても戻ってくるのじゃ!」
この日、直親はわずかな伴を連れ、駿府へ向かった。
しのぶの一言
子供の頃、「待っておるかな!」と、おとわが亀之丞に向かってそう言ったのを思い出しました。あの時も辛い別れだったけど、今回もかなりヤバイ状態…。
次郎と直親と政次の3人が、井戸端でたわいのないおしゃべりをして笑うシーン。これがもう最後なのかと思うとさびしいです。
直親を騙すニセ信康を演じたお笑い芸人にほっしゃんこと星田英利さん。体型的に狸っぽくて徳川家康に似てるのかもしれないけど…。
でも忙しい信康が鷹狩に来るわけないし、こんなニヤけた人が信康なわけないし、騙されるなんて直親も単純すぎるなぁ。