前回(第42回)のお話をサラッとおさらい
長篠の戦いは徳川・織田軍の圧勝で終わった
万千代と万福は日本一の留守居になるべく励み、槍弓の手入れを完璧に仕上げる。しかし手柄を他の小姓にみんな横取りされてしまう
戦から戻ってきた家康は、万千代を寝所へ呼びだす。槍弓の手入れの件は万千代と万福がやったことを見抜いていてくれたのだ
第43話 2017年10月29日放送
ネタバレを含みます
まだ詳細を知りたくない方は読まない方がよいでしょう
会話多めで書いています
戦の手柄あらため
小姓として出仕した万千代と万福の初仕事は、戦の手柄あらための手伝いである。武家それぞれが戦でいかなる武功をあげたかをじかに申し立て、働きが認められれば新たな知行や恩賞を与えられる
徳川の直臣や味方した国衆がどっと押し寄せて、浜松城は大変な騒ぎとなった
他の小姓たちとともに二人は、来客の案内と控えの間での応対を命じられた
武士「いつになれば中に入れるのじゃ!」
正信がてんてこまいになっていた
万千代「大事ないか、ノブ殿!」
ノブ「名を聞き、紙に記さねばならず、どうにも」
万千代「皆様、本日はご苦労さまにございます。お手数ではございますが、一つお手をお借りしとうございます!」
万千代は草履番の加勢にまわり、一同に紙を回して自分で名前を書いてもらった。
井伊谷の山崩れが始まった?
一方、井伊谷の山ではある異変が起こっていた
六左衛門「木を切りすぎたためなのですかの」
大雨が襲えば、何が起こるかわからない
直虎「次は山崩れが麓まで及ばぬとも限らぬ。危うそうな村には雨の折に注意するよう、呼びかけてくれ」
お薬をさしあげるお仕事
家康の寝所で見た様子では割り込む隙はなさそうだった
洗顔を手伝う者、着物を着せる者、髪を整える者、掃除をする者などがおるのだ。
それならば、新たな役目を作ってしまおう!万千代は家康の寝所に向かった
小五郎「ならぬ、一小姓が薬を差し上げるなど!もしものことがあればいかがするつもりじゃ!」
万千代は家康に向かって言った。
万千代「ひめはぎの薬湯にございます。疲れが取れ、気が回復すると」
家康「では一つ、煎じてくれ」
家康は、書類に目を通しながら、万千代がいれた薬湯を毒味もさせずにごくりと飲んだ。
家康「……薬には明るいのか」
万千代「井伊の寺に詳しい僧がおりましたので。一とおりのことは教えてもらい、城に上がる際に、少し持たせてくれました。殿もお薬にはお詳しく?」
家康「さほどでもないが、養生には多少興味があるかのう」
家康の様子を観察してみると手柄あらための記録を見ては、覚書を起こしているようだった
万千代「私が、おおまかに比べたものをお作りしましょうか。例えば縦にお家の名を並べ、横に首の数など働きを種別に記します。それをざっと見渡せましたら、お考えも進むのではないでしょうか」
家康「……うむ。では、頼む」
万千代はみずからの考えを万福に明かした。殿に薬をお出しする役を得たいというものである
万福「よいのではないですか?おとわ様にお頼みして、井伊谷から薬を取り寄せれば」
しかし、この間の材木の件ではしてやられた。こたびも薬の調達を申し入れれば、直虎に近藤からの寄進だなどとねじ曲げられるかもしれない
なんとしても、井伊の手柄にしたい。ただで薬を巻き上げる方法はないものか……。そんなとき常慶が城にやってきた
常慶「実は井伊のほうから、土砂止めの指図をしてほしいという頼みが来ての」
常慶は伊に出向く時がとれないので、絵図にして送ればいいと思つき、万千代の書画の腕前を思い出して訪ねてきたのだ
万千代「やります!やりますゆえ、その礼に薬が欲しいと、松下から井伊に願ってもらえませぬか?」
直虎は松下の義父・源太郎に負い目がある。養生薬を所望していると聞けば、断れないはずだ
信康との面会
家康は1人で書類に向かっていた。万千代がまとめた一覧表は分かりやすく、元の聞き書きと並べて見ると全体像がつかめた
しかし結論が出せない。浜松と岡崎との釣り合いが、どうにもよくないのだ
その夜、万千代が薬を届けに現れた。多くの薬が種別に分けられ、用い方の書きつけまで添えられている。
万千代「念のため、医者にお調べいただければと」
家康「気を回すな.これは井伊から取り寄せた薬であろう。わしは直虎殿には信を置いておる。そなたなら、こたびの戦、岡崎をどう処遇する?」
とまどう万千代に家康は言った
家康「案ずるな。そなたの言うとおりになどせぬ。しかし、そなたは誰が何をしたか、よう知っておろう」
万千代「……首を取った、城を攻め落とした。そういう類いの武功で見ると、岡崎は浜松に比べると、大変に寂しい手柄となっておりましたかと」
家康「しかしながら、こたび織田があまたの援軍をよこしたのは岡崎が日頃、織田への心配りを怠らぬからじゃ」
とはいえ、浜松の本軍や国衆、武田からの離反者などに報いれば、岡崎に回す報奨も知行もなくなる。一連の戦には、今川氏真までもが加わっているのだ
家康「そなた岡崎へ行つてもらえぬか。一つ考えておる仕置きがある。信康の手応えを探ってきてほしいのじゃ」
家康の仕置きとは、ひと月を費やして落とした諏詠原城を、今川家に与えるというものだった
万千代「若も奥方様も今川のご縁戚。今川が一家として徳川に根を下ろすことは、必ずやお二人の力、ひいては岡崎の力となろうとの、殿のお考えにございます」
温情というだけではなく、いまだ武田の支配下にある駿河を切り取っていくには、地の利のある今川勢を手厚く遇しておかねばならい。そういう理屈で浜松を納得させるたいところである
万千代「…お分かりいただけますでしょうか」
信康「徳川の先行きのため岡崎はこらえます。しかしながら、あとあとには地味な働きをしておる岡崎の衆にもじかに報いてくださいませと、そうお伝えしてくれ」
おおらかで頼もしく、人の上に立つために生まれてきたような、徳川信康という主に自分は仕えるのかもしれない。万千代は、新たな希望がわいてくるのであった
しのぶの一言
小姓にあがったものの、他の小姓からは冷たい仕打ちを受ける万千代と万福。でも、冷遇されればされるほど燃え上がるのが万千代という子!
あの手この手で家康に近づきます。家康の方もそんな万千代のことを面白がっている様子
家康は見ていないようで、ちゃんと見ていてくれている人。そんな家康に少しずつだけど認められて喜び満ちている万千代をみているとこっちも嬉しくなります
万千代もただ素直なだけでなく、”殿のご寵愛を受けた”と嘘をついたりするし、井伊からタダで薬を巻き上げる方法を考えたりと、とにかく悪知恵もきくというのも面白いポイント
榊原さまも言ってけれど、殿(家康)の心をもうがっちり掴んでいるのでしょうね
◎各回のあらすじはコチラ ➡「おんな城主 井伊直虎 」あらすじ一覧
◎前回のあらすじはコチラ ➡ 第41回あらすじ