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放送 毎週日曜 総合テレビ 午後8時より
BSプレミアム 午後6時より
再放送 毎週土曜 総合テレビ 午後1時5分より
毎回一話ずつあらすじ、詳細情報、ひとこと(感想)を書いてますので、よかったら読んでいってください。
前回(第11回)のお話
今川での瀬名の救出劇は、次郎の時間引き伸ばし作戦が功を奏したこともあり成功する。
ある日、次郎のもとに見知らぬ山伏が現れる。そして、元康から礼の品と殿への書状を受け取る。
書状を渡された直親は、元康と接触することを決める。ところがこれは今川が仕組んだ罠だったのだ。
元康に援助を要請するものの、断られてしまう。
政次は今川で問い詰められ、そのまま今川に留め置かれる。
今川から呼び出しをうけた直親は、申し開きすることを決意して駿府へ向かった。
詳細情報
ネタバレを含みます。
まだ詳細を知りたくない方は読まない方がよいでしょう。
次郎は、直親の無事を祈り 願掛けの為に、寒空の下で井戸端で水をかぶった。そんなことでもしていないと気が収まらなかったのだ。
そのとき、横からすっと布が差し出された。目を上げると直親がたたずんていた。
次郎「…戻って、きたのか!」
直親は何も答えない。
次郎は立ち上がろうとして、急に目の前がぐらりとして、その場に倒れた。
夕刻、傷だらけになった直親の従者が、主殿に駆け込んできた。
直親ら一行は、掛川に入ってすぐの街道で周囲を囲まれ、相手が誰か問う間もなく襲いかかられ、全員がことごとく討ち果たされたという。
駿府への呼び出しは口実で、今川は最初から直親をだまし討ちにする気だったのだ。

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次郎は井戸端で倒れていたところを発見された。
すぐに寺に運ばれ手当が施されるが、体温が低く脈は落ちていてら、そのまま三日三晩、死地をさまよった。
翌日、南渓たちは掛川まで遺体を引き取りに来た。
井伊の者たちはむごたらしい殺し方をされ、そのまま雪の中に野ざらしにされていたのだ。
その後、井伊の者たちの遺体は井伊の館に運びこまれ、次々とむしろの上に並べられた。
意識を取り戻した次郎は、なんとか起き上がり、遺体を見つける。
次郎が直親のなきがらに触れようとした時、その手を、いきなりバシッと払われた。
しの「触るでない!私の夫じゃ!……皆、そなたが殺したようなものではないか。あのとき、但馬を成敗しておけばかようなことには……」
しのが涙をいっぱいためた目で次郎を睨みつけていた。
次郎「…」
なつ「次郎様。姉は悲しみのあまり正気をなくしております。どうかお許しをいただければ……」
次郎「……そのとおりじゃ。しの様のおっしゃるとおりじゃ」
次郎はいたたまれなくなり、その場を立ち去った。
葬儀が終わり皆が引き上げようとしていた時、
与吉「ご、ご隠居様! 今川の使いが参り、これを!」
直平「……南渓!」
南渓「整えてございます」
直平「しの、虎松はどこじゃ?」
しの「……虎松が何か?」
直由「直親様と同じにございます。今川が虎松君を殺せと言うてまいり、故に逃がすのでございます」
しの 「虎松はまだ二つに……」
祐椿尼「私が連れて参ります」
しの 「お方様、後生にございます! どうかそれだけは……」
祐椿尼「虎松のためなのです! ほかに手はないのです。聞き分けて……」
左馬助「それがしが駿府へ参りまする!それがしに一度、駿府にて、命乞いすることをお許しくださいませ!」
直由「今川が聞き入れるわけがなかろう」
左馬助「腹を切ると申せば分かりませぬ!」

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一方、次郎は殻に閉じこもったような時を過ごしていた。
ある日、南溪に酒を館に持っていくよう頼まれる。
南渓「おおじじ様が戦にお出になることになった」
左馬助と直由も出陣するという。
南渓「出られる前に長年の願いをかなえたいそうじゃ。困ったことにの……これはお前にしかかなえられぬのじゃ」
次郎は酒をもって館を訪ねた。
左馬助「次郎様!」
直平「おう。よう来た、よう来た」
虎松を膝で遊ばせながら、直平が笑って手招きをする。
次郎「何故、おおじじ様が戦にお出にならねばならぬのでございますか」
直平「われわれが今後、今川の戦に出ることが虎松を助けることと引き換えであったのじゃ」
そのような下知があったとは。次郎は愕然とした。
直由「井伊にはもう、戦の采配ができる男はわれら以外におらぬのです」
直平「そういうわけでな。われらの出番となったわけじゃ」
次郎「お三方がいなくなったら、井伊はどうなるのでございますか!?」
直平「何を言うておる。われらは必ず戻ってくる」
直由「そうです。われらが幾たび戦いをくぐり抜け、生き永らえてきたと思うておられるのです? 生き永らえるには永らえるこつがあるのでございます」
直平「なれど、もしも……。仮に、その『もしも』が起こったとしても、それはもはや天命じゃ」
直平「おとわ。どこかの誰かのせいなどではない。仏様がお決めになったことじゃ」
直由「次郎様。守るべきものを守るために死んでいける男は、果報者にござるのですよ」
祐椿尼は次郎に盃を渡した。しかし、次郎は今まで酒など飲んだことがなかった。
直平「小さいときに寺に行ってしもうたからな。共に酒を飲んだこともなかった。そなたと一度こうしとうての」
次郎「……では、少しだけ」
直平「実は、わしはずっとそなたが男子であればと思うておった。なれど……女子でよかったぞ。そなたとは逆縁にならずとも済みそうじゃ」
次郎はひと息で盃をあおり、それを見た直平は嬉しそうに笑った。
その年直平は、今川に反旗を翻した天野氏を攻めるために出陣した。そして、その陣中にて、不審な死を遂げた。
翌年には、屋台骨であった新野左馬助と中野直由もまた、反乱を起こした引馬城の飯尾連龍討伐で討ち死にした。
見知らぬ三人の男を連れて政次が井伊谷に戻ってきたのは、それからまもなくのことである。
祐椿尼「久しぶりです、但馬守。生きておったのですか」
政次「はい。今川に捕らえられ、出るに出られずにおりました。しかしながら、こたび、ご隠居様、新野殿、中野殿によるご忠義が認められ、こうして戻ってまいれることになりました」
祐椿尼「……ようできたお話のようなお戻りでございますね」
政次「こちらは。井伊はただいま心細かろうと、太守様がお付けくださいました目付の方々にございます」
男たちはおのおの、近藤康用、鈴木重時、菅沼忠久と名乗った。
政次「皆様それぞれ近隣のご領主ゆえ、井伊に詰めることはございませぬが、何かのときには助け合うようにとの太守様のお心遣いにございます。つきましては、お方様、太守様のご意向により、今日より、それがしを虎松様の後見としていただきます」
祐椿尼「お待ちなさい! いくら太守様でも、井伊の家督に口を挟むことはできぬはずです!」
政次「家督は虎松様。それがしはただの後見にてございます。お下知にございます」
次郎が一人井戸端で過ごしていると、誰かの足音がした。
藪ごしに見えた姿は、なんと政次である。
次郎「生きておったのか……。今までどこにおったのじゃ。今川に捕らえられておったのか?……そうじゃ。直親の内通ゆえに捕らえられてな。今日までお戻しいただけなかったのじゃ」
次郎「そう、であったのか」
政次 「厳しいおとがめも受け、それはそれは大変であったが……もう、政を任せられる者もおらぬようになってしまったと、戻されたというわけだ」
次郎「……皆、死んでしまったのに政次だけ助かったのじゃな。なにゆえじゃ。どうやって助かった」
政次の風情は今川で苦労していたようには見えなかった。
次郎「直親はな、虎松が生まれたとき、それはうれしそうにしておった。これで二人で井伊をつくっていけると、そう思うておったと思う」
次郎「う、裏切るつもりで裏切ったのか、それとも裏切らざるをえなかったのか! どちらじゃ! 鶴!」
政次に泣きながら食ってかかった。
政次「……恨むなら、直親を恨め。下手を打ったのはあいつだ」
政次は冷たく言い放った。そして次郎の手を乱暴に外した。
政次「何度も同じことを繰り返し、井伊は終わるべくして終わったのだ」
政次が去ったあとも、次郎は打たれたようにその場にたたずんでいた。

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一方、祐椿尼は血相を変えて寺に駆け込み、南渓に今後のことを相談していた。
祐椿尼「このうえは、和尚様に後見となっていただくしかございませぬ」
南渓「次郎を後見に、ということは?」
祐椿尼「『次郎』は井伊の家督を継ぐ者の名じゃ」 「お、女子にございますよ」
南渓「覚えておるか? あの子は追い詰められれば、川に飛び込んででも活路を開く子であった。たった一人、今川と戦うて見事、出家の許しを勝ち取ってきた。あれは、女子にこそあれ次郎。次郎の器じゃと思わぬか?」
祐椿尼「……たとえそうであっても、あの子は今……」
そのとき、昊天の緊迫した声が聞こえてきた。
昊天 「血迷ったか! 次郎!」
次郎が昊天に槍を向けている。
南渓「傑山、弓を持て!次郎が小野の屋敷に行くらしいからの。手伝ってやれ」
傑山「え。はい!」
南渓「では、行こうかの」
南渓の後をついて次郎も歩き出したが、数歩で足を止めた。
次郎は槍を力いっぱい地面に突き刺した。抜いては刺し、抜いては刺し。
次郎「……どうしろというのじゃ! われのせいで直親は死んだ!
藤七郎も孫一郎も、おおじじ様も、左馬助伯父上も中野殿も!
われは災厄をもたらすだけじゃ! われには災厄をもたらす力だけはある!
ならば、これ以外……これ以外、われに何ができるというのじゃ!」
小坊主「あの、竜宮小僧では?次郎さんは、井伊の竜宮小僧ではありませんでしたか?」
誰もが黙り込み、しんと静まった境内に、南渓の穏やかな声が響く。
南渓 「己を責めたところで、死んだ者は帰らぬ。じゃが、生きている者は、死んだ者を己の中で
次郎 「……亀に、この身を捧げる。亀の魂を宿し、亀となって、生きていく」
南渓「それが、おぬしの答えなのじゃな」
評定の場には、政次以下、鈴木、近藤、菅沼の目付たち、奥山朝利の息子の六左衛門、中野直由の息子の直之などが顔をそろえていた。
南渓「井伊は今まさに存亡のときを迎えておる。 次に井伊の家督を継ぐのは虎松だが、虎松はまだあまりに幼い。
墨染めの身でまことに僭越ながら、井伊の末席に連なる者として、今日は私より虎松の後見となる者を推挙したい」
集まった一同にどよめきが走る。
南渓「その者の名は……。井伊直虎と申す」
聞いたこともない名に、六左衛門と直之は顔を見合わせた。
そこには、華やかな衣装に身を包んだ次郎が立っていた。
次郎「われが、井伊直虎である。これより、井伊はわが治めるところとなる」
しのぶの一言
遂に直虎の登場!
でも、眉の上まっすぐのそのオカッパ頭。
なぜか思い浮かぶのは、ブルゾンちえみ…。
誰でも似合うのが難しい髪型だと思うのですが、さすがの柴咲コウさんメッチャ綺麗にキマってましたね!
清楚な尼姿も美しかったですが、頭巾を取ったオカッパ頭でも悪くないですね。他の人だったらちびまる子ちゃんみたいになっていたことでしょう。
そして、今川から帰ってきた政次の冷たさ。まるで亡き父の政直みたい。
今川に行く前は、鶴と亀とおとわでたのしく談笑していたのに…。
今回はたくさんの人が亡くなってしまいましたが、次回からはまた新しい人がたくさん登場するみたい。
どんな展開になるのでしょうね。
わくわく!