直虎は戦を避けたいという思いから、徳川家康に手紙を書いた
ところがそれがもとで、徳川方につくならば人質を出すように要求されることになる
前回(第28回)のお話をサラッとおさらい
晴れて気賀の新らしい城主となった直虎は方久を城代として堀川城を任せる
一方、今川では死期がせまった寿桂尼が動いた
直虎は寿桂尼に呼ばれて会いに行き最後の言葉を交わし感動的なシーンに見えたのだが、
寿桂尼は最後に今川のゆかりの人たちに一人ひとりに会い、今川として信用すべきか否かということを検討していたのだ
そして一人ひとり名前が書かれたその帳面には直虎にはバツ印が、つまり信用できないという印がつけられていたのだった
第27話 2017年7月23日放送
ネタバレを含みます
まだ詳細を知りたくない方は読まない方がよいでしょう
会話多めで書いています
常慶あらわる
家康に宛てた書状を、直虎は傑山に託した
”戦をここでとどめるというお考えはないか。例えば御家が、上杉家と結ぶなどして”
家康からは「すぐには返事できぬが、考えてみる」という返答があったが、その後しばらく、三河からの音信はなかった
一方、駿府の大方様がみまかられたという知らせを政次より聞いた
数日後、南渓の知己で、徳川家に出入りしている山伏の松下常慶が、龍潭寺を訪ねてきた。
常慶「お返事が遅くなり申し訳ございませぬ。三河ももめておりまして」
事の起こりは、直虎が届けさせた書状だという。
徳川家康はその進言を認め、上杉と誼を通じるべく密書まで送らせました。しかし、同じ頃、武田からも話が来たのでございます」
話とは、徳川家と武田家が同時に今川領に攻め込み、大井川から西を徳川、東を武田で切り取ろうというものだった。家内の意見は割れた。が、結局は武田家に従うことになり、家康の意向は退けられていた。
直虎「……では、戦になるのはもう避けられぬと」
常慶「恐らくは今年のうち、遠江には徳川が攻め入ることになろうかと。井伊はそれでも、今川方として戦うおつもりかと、確かめに参ったしだいにございます」
直虎「それでも?それでも、とは?」
常慶「あの書状は明らかに、今川にお味方する者のご意見かと」
直虎「戦そのものを避けたかったというだけじゃ!」
常慶「では、徳川にお味方なさいますか?」
直虎「……できれば……さようにと考えておる」
常慶「では人質に、虎松様の母君を頂きとうございます」
直虎「お待ちあれ、何ゆえ人質を渡さねばならぬ!」
常慶「書状のことのみならず、井伊は今川から離れぬのではないかとも見られておるのでございます」
直虎「しかし、今川の手前、人質を三河によこすわけにもまいらぬであろう」
常慶「私の実家の松下ではどうかと。ちょうど兄が後添えを探しておりまして。そこに嫁ぐという形ならば、まず目に留まることはないかと」
直虎「虎松には父がおらぬ。このうえ母まで奪えと、そう言うのか!」
常慶「では、お考えくださいませ。また参ります」
入れ違いに政次が入ってきた
政次「勇み足となってしまいましたな」
直虎「あの書状が、かようなことになるとは……」
政次「言いにくければ、私からしの殿に言いましょうか。太守様より下知が下ったとでも」
直虎「われから言う。せめてののしりくらいは受けねばの。直親は、草葉の陰で怒っておろうな」
女どうし、おんな同志
直虎はしのに会いに行き事情を説明した
しの「要するに、殿が大それたことをおやりになったせいで、私を人質にという話になってしまったということにございますか」
直虎「まこと、もう、どうわびてよいものやら……」
しの「虎松には、なんと話せばよろしゅうございますか?」
直虎「行って、くれるのか?」
しの「こうなれば、致し方ございませんでしょう」
数日後、虎松が直虎のところに飛んできた
虎松「母は行きたくないそうです。今すぐ、取り消してくださいませ!」
直虎は虎松に丁寧に事情を説明した。井伊は、仲よくしたいと思っている家から、母上が嫁ぐならば信じてやろう、と言われたのだと
虎松「それは、人質というものではないですか?」
直虎「武家の婚儀というのは、えてしてそういうものじゃ」
虎松「嫁ぐのは、母上でのうてはならぬのですか?」
直虎「井伊にとって大事なお方ならかまわぬが……」
虎松は知恵を絞った。祐椿尼様は?出家しておられる。高瀬様は?年が釣り合わぬ。ならば殿は?殿もおなごではないですか!
虎松「われが行ってしまっては、誰が殿をやるのじゃ」
直虎はしのの真意を確かめたくて、またしののいる屋敷に出向いた
しの「少し焚きつけすぎたようです。いずれ虎松は当主となる身。近しい者を人質に出さねばならぬということを考える、よい機会とも思いまして。あえて行きたくないと言うてみせたのです。私が嫁ぐということを、うまく取り引きにお使いください。井伊のためになるように。……そして、いつかその話を、虎松にしてやってくださいませ」
直虎は涙をこらえ、作り笑顔で心得たと返した。
しの「さんざ考えてくれて、母はうれしく思いますよ。実は、虎松が考えている間に、母も考えたことがあるのです。……やはり母は行きたくなってしまったのですが、行ってよいですか?」
虎松「な、何ゆえに!」
しの「父上の望みだからです。そなたの父上は、あるお家と仲よくしようとし、殺されてしまいました。…こたび母が嫁ぐのは・そのお家と再び仲よくするためです」
虎松「嘘じゃ!母上は虎松と離れたくないはずじゃ。母上は虎松のことが一番お好きなはずじゃ、一番大事なはずじゃ!」
しの「虎松は母の宝です。だからこそ大事にしたいのです」
黙って聞いている虎松に、しのは続けた。
しの「母は力強い味方をつくってやりたいのです。母が嫁げば、そこは井伊のお味方の家となるし、子ができれば、そなたのきょうだいが増えます。
笑って送り出してはくれませぬか?」
虎松「お行きになるまで、毎晩、虎松とともに寝てくだされ」
しの「もちろんですとも」
しのと虎松は抱きあって泣いた
しのは嫁入り、虎松は養子に
再び龍潭寺を訪れた常慶に直虎はこう告げた
直虎「しの殿は、松下のお家に差し上げまする。しかし一つだけ望みがある。徳川が攻め入ってきた折、われらは城を明け渡し逆らいはせぬ。されどその先、兵を出すこともせぬ」
常慶「徳川に加勢はなさらぬ、と。しかしそれでは、新たな地の安堵などはできかねますが」
直虎「今以上の安堵は望みませぬ.。井伊の目指すとこのは、1人たりとも殺さぬことじゃ」
常慶「それが井伊の戦い方なのでございますね」
しのは松下家へと旅立って行った
そして、井伊の居館には虎松を迎え入れた
直虎「今日からは、われがそなたの養母となるが、母とは思わんでよい。われには、しの殿の代わりはできぬし、われのことは父と思うてほしい」
虎松「はい」
一方、駿府の今川館では、寿桂尼が残した言葉に従って、井伊をめぐるある企みが動き始めていた
おもな出演者
井伊 直虎 主人公(次郎法師) 柴咲コウ
瀬戸 方久 瀬田村の商人 ムロツヨシ
小野 但馬守 政次 井伊家重臣 高橋一生
奥山 六左衛門 井伊家家臣 田中未央
中野 直之 井伊家家臣 矢本悠馬
寿桂尼 今川義元の祖母 浅丘ルリ子
今川 氏真 今川家当主 尾上松也
しの 井伊直親の正妻 貫地谷しほり
【大河ドラマ放送日時】
毎週日曜 総合テレビ 午後8時より
BSプレミアム 午後6時より
再放送 毎週土曜 総合テレビ 午後1時5分より
●各回のあらすじはコチラ です➡「おんな城主 井伊直虎 」あらすじ一覧
しのぶの一言
泣き虫で弱虫な虎松
でも頑張りやで負けん気が強くて…
こんな男の子が自分の子だったら、かわいくてたまらないだろうなぁ〜
大河ドラマでは、武家の子どもは小さい頃に親から引き離されるシーンがよくあるのですが、毎回辛くて…だいたい号泣というパターンになります
今回もあらすじを書いているときからずっとウルウルしていましが、ドラマを見たらやっぱりもう号泣…
しのも昔はけっこう荒れてたのに、よい奥様になられたのですね
嫁ぎ先では幸せになって頂きたいものです
そして、あやめさんにも是非よい嫁ぎ先を見つけてあげてほしい!