前回(第47回)のお話をサラッとおさらい
高天神城の戦いは兵糧攻めを強める策しかなかったのだが、万千代に呼ばれて来ていた直之と六左衛門が、武田の間者を捕まえたことから事態は一転する
高天神城にいた武田軍は降伏を申し出てきた。家康は降伏を受け入れるつもりだが、信長に攻め滅ぼすよう言われ、それに従うしかなかった
この戦いを最後に武田勢は衰退し、ついに武田勝頼は自刃に倒れ、武田家は滅亡した
第48話 2017 年12月3日放送
ネタバレを含みます
まだ詳細を知りたくない方は読まない方がよいでしょう
会話多めで書いています
信長が浜松城へやってくる!
信長が、安土への帰途、富士を拝みたい、ついでに遠江・駿河の名所を楽しんで戻りたいと言っていると、織田家の使者が伝えてきた
家康「われらはいささかの粗相もなく、織田様をおもてななしせねばならぬということじゃ……」
通る道を広げ、休みどころの陣屋を設け、宿舎となる神社を金銀で飾りつけ、最上級の食事を用意しと、徳川家は上を下への大騒ぎ
当日、家康をはじめ徳川家中は、城の大広間に平伏して信長を迎えた
家康「こたびは駿河・遠江までわざわざのお出ましいただき、まことに恐れ入ったる次第でございます」
酒肴が次々に運ばれ、相撲の好きな信長のために集めた男たちによる取組が続いた
信長「道中のもてなし実に見事であった。そなたの真心、信長いたく感じ入った。また、短き間にここまでの用意をするそなたを実に頼もしゅう思う」
家康「……もったいなきお言葉にございます」
数日後、織田家の使者が再び現れ、せんだってのもてなしに対し返礼したい、安土や堺などを見物していただきたい。ついては家康をはじめ、重臣の皆で来るように、というのが信長からの伝言だった
置き去りにされた男の子
井伊谷では、奇妙な事件が起きていた。龍潭寺の井戸端に、小さな男児が一人座り込んでいたのだ
その子はひと言も発しないうえ、肌の色艶や作法から見て、間違いなく武家、それも相当な家の育ちであるようだ
何か事情があり、身分のある子なら、ひそかに見守る役がついているのでは?
直虎が傑山に探らせると、行き着いたのは、予想もできない人物だった
その人物、今川氏真の屋敷に出向き、直虎は正面から疑問をぶつけた。
直虎「井伊にお預けになった子についてお聞きできますか。こちらはその子に無理やり吐かせることも、場合によってはどこぞに引き渡すこともできますが」
氏真は観念して真実を教えてくれた。父親は、織田家の重臣・明智光秀だという。
直虎「明智?何ゆえさような子を井伊に……」
光秀は旧知である氏真に、こう持ちかけたたのだという
光秀「太守様。ともに信長を殺さぬか」
信長は家康とおもだった家臣を織田領へ招き、皆殺しにするつもりでいるという
氏真「まことの話なのか、それは」
光秀「まことじゃ。なぜなら、その供応と暗殺を任されおるのは、わしゆえにな。その運びを考えておるうちに、家康を殺すための策を使い、信長を殺すという策を考えついたというわけじゃ」
氏家「……わしに、何を手伝えと」
光秀「この策は徳川がおとりとなって、のこのこと出てきてくれねば成り立たぬ。その橋渡しをお頼みしたい。わが息子を人質に出す。それでどうだ」
あの子が井伊谷に置かれた理由が分かった。
直虎「人目につかず、何も知らずとも子を預かってくれるであろうところは井伊、ということにございますか。……それで、その話に徳川殿は乗ると?」
確たる返答はまだ得ていないと氏真は答えた
直虎が家康に伝えた思いとは?
直虎はそのまま浜松城の家康の元へ赴き、家康に対面して氏真に聞いたことをぶつけてみた。
家康「井伊に人質を預けたというのは……?」
直虎「まことにございます。明智はまことやるつもりかと。しかしながら私はこの件、織田に申し出ようかと。さすれば明智は成敗され、徳川様はとりあえずは無傷、覚えもめでとうなるやもしれませぬ」
家康「いや、しかし、こたびの件のみならず、織田はいつかは徳川を漬そうと考えてはおるわけでー」
直虎「では明智の策に乗り、信長を亡きものにしてしまいたいと?では、そのあとは?」
信長には跡継ぎもいれば、多くのしたたかな家臣もいる。主が亡きものとなれば、家中での争いが起こることは疑いようがない
織田家が内輪もめをしているとなれば、臣従を誓った諸大名も反旗を翻すに違いなかった。そうすれば、信長が成しかけている天下統一は露と消え、一から乱世のやり直しとなるだろう。
直虎「さようなお方をあやめる代償をいかになさいます?」
家康「ゆえに決めかねておるのではないか!そなたに何ゆえそこまで言われねばならぬ!」
直虎「私は徳川様に、織田に取って代わってほしいと望んでおります。いつか、この日の本をまとめる扇の要となっていただきたいと。心ひそかに望んでおります」
家康「……わしはこの世が嫌いじゃ。戦や謀りごとや首や、さようなことばかりで物事を決する……。昨日の味方が今日には敵になるような。年かけて育てた稲を1日で焼かれるような。誰が望んでかようなことになっておるのかと思う。変えられるものならば、変えたいに決まっておる」
直虎「……戦をなくされたいと?」
家康「戦という手だてがこの世にある限り、喧嘩の強い輩はそこに訴える。ならばあらかじめ戦を起こせぬような仕組みを敷いてしまうがよい。そんなことを思うたりはするが……、できると思うたことは……ないの」
直虎「なれど、やってみねば分かりますまい。私は……さような世を見てみとうございます」
今度は家康が黙って聞いていた
直虎「子は預かっておきます。お心がお決まりになりましたら、お知らせくぎいませ。…夜分、ご無礼を」
しのぶの一言
自然が龍潭寺に置き去りされる事件、そして明智光秀の謀反の計画を知った直虎。そして、そのことがきっかけになり直虎は、家康に天下をとって欲しいという思いを伝えます
直虎は井伊の殿は引退したはずなのに、大事なことには全力で突っこんできますね。それも弔い合戦の一つなのでしょう
やられたら、やり返す。そういうことを続けていれば殺し合いは延々と続いてしまいます。嘆いていてばかりでは仕方がないのです。それにはどうすればよいのか…
それが家康に天下を治めてもらうことに繋がったというわけなのでしょう
直虎や氏真が実は徳川の行末に深く関わっていたというのは発想は、すごく新鮮で面白いですね!
◎各回のあらすじはコチラ ➡「おんな城主 井伊直虎 」あらすじ一覧
◎前回のあらすじはコチラ ➡ 第47回あらすじ